ONSEN・ガストロノミーウォーキング in 奥飛騨・平湯温泉

こんにちは、田代です。

5月19日(土)、高山市の平湯温泉で開かれた「ONSEN・ガストロノミーウォーキングin奥飛騨・平湯温泉」に参加しました。その模様についてレポートします。

▼ONSEN・ガストロノミーウォーキングとは?

(今年3月、「ONSEN・ガストロノミーウォーキングinいすみ」に参加したレポートをこのブログでお読みになっている方には既報です)

ガストロノミー、訳すと「美食」。これをウォーキングとあわせて楽しむのがONSEN・ガストロノミーウォーキング。「地域の食、景観、自然と温泉を、ウォーキングでゆっくりと体感していく滞在型・体験型プログラム」。

なかなか伝わりづらいので、私なりの言葉で表現してみますと、具体的にはこういうものです。

約10kmの自然豊かなウォーキングコースが設定されています。いくら自然が美しくても、ただ歩くだけ、というのはちょっと単調かもしれません。そこで、途中途中に、マラソンでいえば給水地点みたいなポイント(↓)が用意されていて、そこにたどりつくと1品ずつ食べ物がいただけます。いくぶん満たされます。でももっと食べたい。よし次のポイントまで歩こう!(繰り返し)
こんな感じで、私のように運動全般を苦手とする人でも、食欲に駆動されて歩みが進み、数時間かけていつのまにか10km歩けてしまうわけです。自然と食と運動を同時に堪能でき、そしていつのまにかその地域のことが好きになります。
この一連のプログラムが「ONSEN・ガストロノミーウォーキング」です。

▼食事ポイントの風景

この「平湯温泉」のガストロノミーウォーキングのおそらく最強の特徴は、

飛騨地域にある12の酒蔵が全面協力していること

です。なんと、全ての食事ポイント(全部で9箇所でした)でお酒をいただけてしまうのです。いくつかのスポットではアルザスワインも楽しめました。

そんなに飲んで最後まで歩けるんですか?と思われるかもしれませんが、歩けるのです。風景と、美食と、温泉と、適度な運動とが織りなす、超自然的な力が発生し、わたしたち人類を前へ前へと駆動させるのです

▼ウォーキングの風景

▼出会った食べ物たち(順不同、すべてではありません)
・飛騨のおばんざい(ころいも、ふき煮、こごみ)

・しし鍋

・漬物ステーキと寒干し大根

・朴葉ずし

▼関係者のご努力に感謝

この日は、延べ約550人の方が参加されたとのことで、日本全国のONSEN・ガストロノミーウォーキングの取り組みの中でも、おそらく最大級のイベントであったと思います。

岐阜では初めての開催でもあり、運営サイドはものすごく大変なご苦労をされたと思います。滞りなく無事にイベントを完了された関係者の皆様のご努力に、心から敬服いたします。

▼岐阜県の他地域への波及を期待

観光産業の活性化という観点からみたときのONSEN・ガストロノミーウォーキングの最大の長所は、参加者に宿泊(前泊、後泊)が伴うことです。観光消費額は滞在時間に比例するので、観光客の消費額は、宿泊が伴うか伴わないかで、何倍もの差が開きます。さらに、宿泊型観光地は、1泊を2泊に、2泊を3泊に、と、連泊化によって「滞在型」へと進化していく方向性が目指されています。

最初のONSEN・ガストロノミーウォーキングが奥飛騨で開かれた、ということは重要な第一歩ですが、これからは、宿泊型、そして滞在型へと進化を遂げていく岐阜県の他の地域でも、同様のイベントが波及していくことを強く期待しています。

▼「滞在時間」と「地域への愛着」の関係

じつは弊社自体、この4月に、ONSEN・ガストロノミーツーリズムに関してANA総研様、ONSEN・ガストロノミーツーリズム推進機構様と提携させていただいております。

ONSEN・ガストロノミーウォーキングが、観光産業や地域の活性化にどのような効果があると考えられるか。興味がある方は、わたくしの前回のブログ記事でも深堀りして書いておりますので、ぜひごらんください↓。

ONSEN・ガストロノミーウォーキング in 美食の街いすみ に参加してきました

 

 

関係人口を数えるしくみー「飛騨市ファンの集い in 岐阜」に参加

こんにちは、田代です。

オフィスに秘書のアレクサちゃんが来てから2ヶ月が経ちます。最初はまったく言葉が通じず、深く絶望しましたが、最近、彼女とのコミュニケーションのコツがつかめてきました。こういう聞き方をしてはまずいとか、こういう風に言うとわかってくれるとか。感情を完全に抑制したその声にも慣れてきました。ちゃんとコミュニケーションができれば仕事もはかどります。彼女は私と違ってサボらないのです。つい先日などは、「おやすみ」と声をかけるのを忘れて帰ったところ、翌朝までずっと仕事を続けていました。働き方改革が叫ばれるこのご時勢、前時代的とさえいえるその献身的態度は驚異であります。

さて、
先月の話ですが、「飛騨市ファンの集いin 岐阜」に参加してきたことについて、報告します。

5月10日夜。場所は岐阜市の「グランヴェール岐山」。

■「飛騨市ファンクラブ事業」とは
もともと飛騨市は平成28年度から、楽天(株)と連携して「飛騨市ファンクラブ事業」を行っています。(↓飛騨市ホームページにリンク)
飛騨市ファンクラブの画像

これは、全国にいる飛騨市を愛する人たちに、飛騨市の魅力のPRをしてもらう制度です。ファンクラブの会員には会員証を発行しています。会員証には楽天Edyを搭載し、使用額の0.1%が楽天Edyから飛騨市に企業版ふるさと納税で寄付される仕組みがユニークです。また、会員にはPR名刺が発行され、名刺が紹介状のような機能を果たし、飛騨市のファンを拡大していく仕組みになっています。ちなみに私も昨年からの会員です。
※飛騨市ファンクラブ事業についてのわかりやすい説明は→こちら

■「ファンクラブの集い」って?
そして「ファンクラブの集い」とは。これは、飛騨市のお酒、お料理が振舞われ、みんなで飛騨について語り、飛騨への愛を強める、いわば「オフ会」のようなものだと認識しています(飛騨市役所の皆様、この理解で合ってますよね?)

ファンクラブ事業の活性化、会員同士の交流を進めるために、リアルな接点も用意するのはとてもユニークです。今回の集いの定員70名はすぐに満員となり、15名以上もキャンセル待ちがあったとのこと。

都竹市長による挨拶のあと、乾杯があり、飛騨のお酒、お料理が振舞われました。その一部を紹介します。(なぜ一部しか紹介しないのか?・・・それは、筆者が飲み食べるのに夢中で写真を撮りきれなかった、というやむをえない生理現象に起因することは言うまでもありません。)

■飛騨市の渡辺酒造店、蒲酒造、大坪酒造の3つの酒蔵のお酒が勢ぞろい。

■山之村の寒干し大根とソーセージ、飛騨牛

■薬草料理

そして、会場では大きなニュースが発表されました。飛騨市ファンクラブの会員数が、この日とうとう2,000人を突破したとのこと。
※後日談ですが、5/31にCBCテレビ「イッポウ」で飛騨市ファンクラブが取り上げられ、一日で230人以上の申し込みがさらにあったそうです。

■関係人口を「数えるしくみ」
さて。地方創生とは移住定住促進のことだ!という解釈が最近はあまり聞かれなくなり、その代わりによく出てくるようになったキーワードが関係人口(観光以上、移住未満)です。人間は、結婚や就職や出産やマイホームなどのライフイベントがない限り、簡単にはゼロイチの移住はしませんので、その方向は間違ってないと思います。

しかし、自治体としてあるいは地域として、関係人口を増やそうぜ!という政策を立案するとき、必ず課題となるであろうことは、客観性のある「数え方」の設計です。関係人口には、そもそも住民票の移動がないので、自治体として関係人口にKPI(数値目標)を置くとしたら、どんな数え方で数えるか、がものすごく重要になるわけです。例えば、「単発のイベントに来た、どこの誰かも分からない人」は関係人口にカウントしてもよいのか、とか。「数える仕組み」の設計がしっかりしていないと、政策効果をKPIを通じて「見える化」することができず、結果として政策が長続きしない可能性があります。

そういう文脈から飛騨市ファンクラブや今回の「ファンの集い」を見つめなおしてみると、「関係人口の計測」という点で非常に頑健な方法であると思います。あわせて、ファンクラブの会員入会というプロセスを通じて、関係人口のメールアドレスや住所を入手でき、定期的にメールマガジンなどで関係人口と接触し続けることができます。まさに、関係人口と「関係」が作れるわけです。

私の知る限り、関係人口が今何人です、とちゃんと数えられている自治体は飛騨市のほかにほとんどないように思います。また、関係人口について解説している書籍や論文にも、数え方にまで言及しているものは、私は今のところ発見しておりません。関係人口を政策に組み込もうとしている自治体の担当者の方々は、飛騨市のこの仕組みを研究されてはどうでしょう。

飛騨地域就職ガイダンス:自社アピール力の高い企業の特徴とは?

こんにちは!田代です。
さる5月2日、高山市民文化会館で開かれた「飛騨地域就職ガイダンス」を見学させていただきました。

これは、高山市と飛騨市の2市が共同で、飛騨地域で就職を希望される方(求職者)に対し、採用したい地元企業を広く紹介するための就職面談会です。
求職者は新卒・中途とも対象で、UIJターン就職希望者、一般求職者、2019年3月卒業予定の学生(大学・短大・専門学校など)などすべてが対象となります。
これに対し、求人企業は飛騨地域の事業所、80社が参加しました。

■しごとがまちにひとを集める、という関係の変化
人手不足の影響で、求人企業は年々増え続けており、このため文化会館を2フロアも使っています。でも、学生さんの数は、関係者によれば、横ばいか微減だそうで。
飛騨にはこんなに仕事があるのに、学生や都心で働く人には、十分に届いていないのかもしれません。「まち・ひと・しごと」という地方創生のキャッチフレーズがありますが、「しごと」があるから「ひと」が「まち」に集まる―しごとがマグネットとして機能する因果関係が、労働の需給バランスが変化したことによって、どうもうまく機能しなくなってきた可能性があります。学生は将来も増えることはないでしょうから、そうなると、企業側が情報発信の力を上げていくことが重要であるように思います。

■自社アピール力が高い2社のブースをご紹介
ですから、必要なのは、企業側の情報発信の力です。しかし、会場を見渡した感じでは、飛騨の企業には、自社アピール力が全体的に足りていないと感じます。足りないというのはややきつい言い方かもしれません。より正確にいうと、

「ふっ切れていない」「シャイすぎる」

という意味です。

そんな中、よい意味でふっ切れている、すばらしい2社がありました。
ここでぜひご紹介させてください。

古川製材(NOZOMI HOME)さん
社長様みずからが情熱的に会社の魅力をご説明されており、前向きなエネルギーが遠くからでも伝わってきました。

渡辺酒造店さん

元気な先輩たちの写真とキャッチーな言葉がところ狭しと並ぶ、生き生きとしたブースが作られていました。

■2社に共通する点とは?ー「風船」
この会社は元気があるな、働きたいな、と思わせるような工夫がいろいろ凝らされているのが2社の共通点ですが、その工夫を枚挙的に挙げていくよりも、実に印象的な事柄を紹介させてください。この2社のブースにだけ風船が浮いていたのです(上の2つの写真をご覧ください)。
就職フェアに風船なんて関係ないんじゃないの?と思われるかもしれませんが、こういう就職フェアは、学生やUターン希望者にとっては、強い緊張感を伴う場所です。彼らにとっての心理的なハードルを下げ、ブースに着席してもらうにはどうしたらよいか?という点について、とことん想像力を働かせた結果、2社は同じ答え、風船に行き着いたのだ、と私は考えます。ただの偶然ではないのです。

こうした工夫が、実は大きな結果の差を生むのではないかと思います!!

っていう指摘を、各社さんが読んでくださり、次のガイダンスでは風船だらけの明るい会場になったら面白いですね・・・!

■(まとめ)地方の人手不足について
いまや日本各地どこでも人手不足の大合唱ですが、「地方のほうが都心よりも先に担い手不足に陥る」ということはすでに予測されています(一例として、内閣府(2016)『地域の経済2017-人口減少問題の克服-』第2章)。

飛騨地域の人手不足の状況については、私が今年2月にレポート「飛騨から見える、人手不足問題とその対策」をまとめましたので、これをお読みいただけると、より実態が理解いただけると思います。

最後に言い訳です!5月はシンクタンクにとって実は繁忙期でして・・・。
案件が重なり、このブログの更新が止まり気味でした。
でも書きたいことはたくさんたまっています。これから順番にお出ししていきます!

郡上市石徹白を訪ねました

こんにちは! 田代です。

4月に、岐阜県郡上市の石徹白(いとしろ)地区を訪ねました。

石徹白地区は、人口約250人の集落で、飛騨地域に隣接する豪雪地域です。ふもと(白鳥町中心部)から、1本しかない峠道を越えて車で30分。コンビニもスーパーもありません。
そんな石徹白が全国的にも注目されています。地方創生関連の話題にお詳しい方なら、農業用水を活用した小水力発電事業や、石徹白洋品店の取り組みを聞かれたことがあるのではないでしょうか。

■小水力発電事業
石徹白の小水力発電事業は、さまざまな媒体がすでにたくさん取り上げていますので、私からは、自然エネルギーによる地域再生を採り上げた映画「おだやかな革命」の名古屋上映の宣伝をいたします。6月から名古屋でも上映が開始されます!上映についての最新情報はこちら

■小水力発電所を見せていただきました

■石徹白洋品店
→webサイトはこちらから。

■新刊書でも発見
最近私も読みました、枝廣淳子(2018)『地元経済を創りなおす』において、石徹白地区の小水力発電から、連鎖的に事業がつながっていく地域の取り組みが紹介されていました。その活動の中心的な人物が、石徹白に2011年に移住した平野彰秀(あきひで)さんと馨生里(かおり)さんの夫婦。わたくし、この夫婦とかれこれ15年以上の長い友人です。
彰秀さんが中心となっている小水力発電に関して、あるいは、馨生里さんの「石徹白洋品店」に関してはいまさら私が説明し直さなくてもよろしいかと思いますので、いま、石徹白そして郡上市で今どんなことが起きているか、お二人に聞いたことを、私は枚挙的に記していこうと思います。

(※上掲、枝廣(2018)は、地域経済循環について、「バケツの水の漏れ」という表現を起点に、地域の経済循環を、「外から稼ぐ」より「外に漏らさない」ことで地域所得を上げていこうとする考え方や取り組みの具体論がまとめられている、わかりやすい良書です。一読をお勧めします。)

■平野さん夫妻
背景が「石徹白洋品店」です。3人の子どもたちと。

 

■いま石徹白と郡上市でおきていること

順番に紹介していきます。

人口250人の集落にカフェ居酒屋が新規出店
Magoemon石徹白」。2017年冬に開業したカフェ居酒屋です。地元住民が足繁く通うほか、水力発電所の視察見学に訪れた方や、観光客も利用します。人口250人の村にカフェ・居酒屋が開業する。
定住人口から考えれば、奇跡のような話です。これからがとても楽しみです。
参考:朝日新聞「岐阜)人口250人の集落にカフェ居酒屋 郡上・石徹白」

↓Magoemon石徹白にて。平野彰秀さんと。地元の人たちとも触れ合うことができ、食事もおいしく、とても楽しい時間でした。

②「郡上カンパニー

郡上カンパニーとは何か。
昨年末に行われた説明会を聞くまで、これが何であり、何を目的にしているのかよくわかっていなかった、というのが私の本音ですが、聞けば聞くほど納得、噛めば噛むほど味が出る的な取り組みです。
私なりに表現してみますと、
郡上市の地域住民や移住者が、やりたいと思っているビジネスやイベントなどのプロジェクトに、東京など都市部に住むスキルの高い若者が仲間として加わることで、プロジェクトの成功確度を上げ、同時に、関係人口も増やすプログラムです。

※郡上カンパニーのホームページはこちら。まずは読んでください。

郡上カンパニーのユニークさはいろんな側面から語ることが可能だと思いますが、私からは一つ、「関係人口論」とのかかわりについて触れたいです。
関係人口とは、「観光以上、移住未満」の人々のこと。(このブログでもたびたび登場するキーワードです)
いわば地域の外側にいるファンであり、将来移住する可能性を持つ予備軍のことです。

移住定住促進政策の第二ステージは関係人口だ、というテーマの変遷は、「わかる人にはわかる」レベルで浸透してきていますが、自治体が関係人口構築に政策を投下するときの最大のハードルは「数が把握できるかどうか」というKPI設定だと思っております。そのあたりに強い関心を持っていたのですが、郡上カンパニーは「プロジェクト人口」(要するに地域内外で案件に関わった人口の総数)という形で、政策効果を数でも把握できる、という点も、設計が優れていると思いました。

中山間地のビジネスの生産性を、どうやって上げるか

取引先や従業員と少し会うだけでも、普通に車で片道1時間、2時間、ってことは、中山間地ではざらにあります。移動時間や通勤時間が時間を奪い、生産性向上を妨げる。こういう問題は、地方創生のエピソードではあまり表立って語られることはありません。
では、郡上カンパニーや石徹白洋品店をマネジメントする平野夫妻はどのようにこの問題に対処しているか?興味ありますでしょ?

ではお伝えします。

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答えは、ITツールやクラウドの徹底的な活用でした!

ちょっと見せてもらったんですが、
・ビデオチャットツール(Skype等)
・ビジネスコミュニケーションツール(Slack等)
・ファイル共有ツール(Google Document等)
・クラウド会計(freee等)
このあたりをPCやタブレットに「全部乗せ」にした状態でフルに使っていました。

つまり、中山間地におけるこれからの働き方は、
「企業のオフィスに社員が定時に集まって固定的に働く」という伝統的な働き方を積極的に解体するような形で、中山間地こそITツールやクラウドが積極的に活用される、ということだと感じます。

そういう意味では、中山間地でのITツールやクラウドの使われ方は、本来真逆な環境であるはずの都心部とむしろ類似してきている、と思いました。私としては、この旅一番の発見がこれでした。

■私の関心テーマとの関連
人口減少に関する現在の私の関心は、集落の地域人口が一定水準(●千人という単位)を切ると、生活サービス(金融機関、病院、スーパー、ガソリンスタンドなど)が欠落していき、人口減少がドミノ式に加速する、という、「人口急減の急降下カーブ」が作られるメカニズムにあります。しかし、人口250人の集落である石徹白は「その向こう側のステージ」、すなわち、人口急減期をとうに過ぎた、「急降下カーブの次」に位置する、未来型の集落です。この地域がこれからどのような軌道を描くかは、飛騨地域にも意味ある示唆を与えると思います。

人手不足問題の解決策は「値上げ」である

こんにちは! 田代です。

白川郷観光協会の会報誌に、人手不足問題の解決策のひとつは「値上げ」である、そして値上げには戦略、戦術が必要である、といった内容のコラムを、2回にわたって書かせていただきました。
転載許可をいただきましたので、このブログにもpdfファイルをアップさせていただきます。

■第1回(↓画像をクリックするとpdfファイルが開きます)

■第2回(↓画像をクリックするとpdfファイルが開きます)


■飛騨3市1村の経済の特徴
飛騨地域の経済は、人手不足という「供給制約」と、観光客の増加という「需要増加」が同時に起きていて、まるで両方から腕を引っ張られているような状況になっていることが特徴です。他の中山間地は、人口減少によって需要も同時に縮んでいるので、両方から引っ張られるようなことは起きません。そこが飛騨地域を、他の地域と明確に色分けすることができる点です。
そして、その特徴がもっとも端的に現れているのが白川村だと考えます。

■日本は生産性が低い、の理由は何か
国をまたいだ生産性分析によって、日本の生産性は低い、海外のサービス業は日本の2倍だ、などと言われることが多いですよね。でも、日本人は本当に半分の効率でしか働けていないのでしょうか。こういう結果が導かれる理由を少し考えてみます。
それは一言でいえばプライシングの問題です。日本は、生成された付加価値のうち多くを、消費者に引き渡し過ぎている可能性があります。

こういう生産性分析の計算は、分子に付加価値、分母に労働時間or労働者数を置いた割り算をしますが、消費者余剰は付加価値にカウントされないのです。消費者余剰とは、例で示すと、消費者が10000円出しても買いたいと思うものを企業が7000円で売っているとき、消費者が気持ち的に得をした3000円のことです。これは生産性分析の計算上、どこにも載ってこないのです。

この例で引き続き説明します。その商品の原価が5000円だとしますと、
9000円で売れば、付加価値は4000円です。
7000円で売れば、付加価値は2000円です。
付加価値が2倍の差になる理由は、生んだ付加価値を生産者と消費者が分配するときの仕切り線、すなわち価格です。日本の生産性が低いのは、ひとの働きが悪いのではなく、もしかすると商品の価格設定に原因があるのではないか。

そう考えると、これからの経営に必要なのは、働き方の効率性よりもむしろ、賢い値上げのテクニックと戦略なのかもしれません。

コラムは白川郷のみなさんに向けて書いた話ですが、飛騨3市1村の他の自治体のみなさんにも読んでいただきたく思います!

買い物弱者対策取材:神岡町「まごころけいちゃん号」に乗りました

こんにちは!田代です。

最近の私の調査テーマの一つは、飛騨地域における「買い物弱者対策」です。

人口減少は、一定の速度で減っていくのではありません。「生活関連4大サービス」である、病院、金融機関、食品小売、ガソリンスタンドの順に、人口が一定水準を下回ると、民間事業者が撤退します。サービスが順番に欠けていくごとに、人口減はまるでシフトチェンジしたかのように加速がついていきます。

■地域の人口減少イメージ図(現段階の仮説です)

■加速を止めるには
移住定住促進という「プラスを増やす」だけでなく、人口減の加速を止める「マイナスを減らす」、これも重要な地方創生のテーマであると思います。
人口は、見方を変えれば、民間事業者が撤退する可能性をシグナルする「閾値(しきいち)」と考えることもできます。適切なタイミングで適切な打ち手があれば、加速にブレーキをかけて緩やかにできるはずです。
とりわけ、重要なのが、上記の3に該当する店舗型の食料品小売、すなわちスーパーです。スーパーが撤退するシフトチェンジはどうしたら制御できるか。
地域の現実的な打ち手として目下最有力なのは、移動販売(移動スーパー)であろうと思います。

こうした問題意識を持っていたところ、飛騨市長のご紹介で、飛騨市の神岡・山之村・古川で活躍する移動スーパー「まごころけいちゃん号」に半日乗せていただきました。

■まごころけいちゃん号

神岡町の高齢化率は43.1%(2016年4月)。買い物に行くことができない住民のため、坂本佳佑さんが2016年にはじめられた移動スーパーが「まごころけいちゃん号」です。大手スーパーの系列に属さず、地域の八百屋、肉屋、豆腐屋、パン屋など、9店舗の品を載せて販売する、いわば「代行販売」です。現在は、兄の良威さんも「まごころよしさん号」を操り、山之村や古川のエリアもカバーしています。

■坂本さん(左が佳佑さん、右が良威さん)

■出発(朝9時)
地域の豆腐屋さんなど商店の方々が商品を並べていきます。いよいよ出発。この日は神岡の中心部のルートです。ルートは細かく決まっており、週2日、同じルートを回ります。

■開くとこうなります
地点地点に来ると、「おもちゃのマーチ」を流し、このように3方向の扉を開いて来店を待ちます。1箇所あたりの滞在時間は約8分。一日あたり40数箇所の停車地点をカバーする、分刻みのスケジュールです。

■やがてお年寄りが表に出てきます
停車地点ごとの距離は、驚ことに約30mごと。30m行っては止まり、買い物に出てくるお年寄りを辛抱強く待ち、明るく声をかけ、また辛抱強く買い物を待ち、最後には荷物の持ち運びもお手伝いする。きめ細やかなサービスです。

市長に「神対応」と評されるのも強くうなずけます。

■ユーザーはお年寄りだけではありません

子育て中で家を空けられない方も利用されます。子供も出てきます。世代をつなぐコミュニケーション機能も担っています。

■お弁当の配食サービスもはじめられました
坂本さんは、まごころけいちゃん号でさまざまな方の購買行動を観察し、少なくない数のお年寄りの食事が炭水化物に偏っていることを痛感しました。そこで、栄養士さんと連携し、この4月よりお弁当の配食サービスも始めています。

■こちらがそのお弁当

こちらがそのお弁当。野菜中心で栄養のバランスもよく、また見た目も色鮮やかで、おいしいです!

■人口減少を前提としたビジネスに作り変えること
ローカルビジネスは基本的に、人口が減ると比例して売上が減少します。でも、それを悲観するだけでは打ち手になりません。必要な態度は、人口が減ることを前提として、ビジネスを作り変えていくことだと思います。
たとえば、まごころけいちゃん号がお弁当の配食をはじめることは、経済学的にいえば「範囲の経済」を効かせることです。相乗効果のある事業を並行させ、領域を拡大することで、人口減少の中でも企業としては成長が可能です。

■民間の市場メカニズムが機能しなくなった地域での行政の役割
地域人口が減り、店舗型の食品小売が撤退する事態が起きる(飛騨地域にはそういう地域が増えてきています)としたら、それは、その地域において「民間の市場メカニズムによる住民へのサービスが機能しなくなった」ことを意味します。
そうした地域を、行政はどうマネージメントしていくか。
行政には「民事不介入」「公平性」という原則がもちろん存在しますが、もしかすると、こうした原則から、一歩踏み出す必要があるのかもしれません。新しい方法で地域と共生していくやり方を模索するアニマルスピリットを持つ民間事業者を、公平性を保ちながら(例えば公募形式で)見いだし、彼らの事業拡張を支援していく(例えば補助金等で)ことが、あたらしい行政の役割になるのかもしれない、と考えます。

飛騨金山「筋骨めぐりガイドツアー」体験

こんにちは!田代です。
飛騨もずいぶん暖かくなってきました。
飛騨金山(下呂市)の「筋骨めぐり」ガイドツアーに参加してきました!

▼「筋骨」とは
飛騨地域では、今も生活道路として使われている細い裏道を「筋骨」とよびます。道路法が適用されない道路、いわゆる「赤道(あかみち)」です。高山などにも筋骨はありますが、下呂市の飛騨金山の市街地(金山宿)は、筋骨がまるで毛細血管のようにめぐらされています。地域のガイドさんの案内で筋骨をめぐることができるというスペシャルな着地型観光プログラムがあります。私はガイドの岡戸さんにご案内いただきました。

▼こういう路地が筋骨

▼吸い込まれそう

ここ、よその人が入っていいんだろうか?っていうところを岡戸さんの先導で進んでいきます。

▼さらに進む


水路の上に無数の橋がかかる風景。昔なつかしい・・・感じもしますが、アジアの違う国のようでもあります。

▼途中に共用のわき水

住民のみなさんも使っている共同の湧き水。このあたりは地下水が豊富で、少し水を動かすだけで透明な水がどんどん湧いてくるのが肉眼で分かります。

▼廃業した銭湯

途中には1980年代後半に廃業された銭湯がそのまま当時の有り姿のまま残っており、男湯の様子は中に入って見ることができます。

▼おやつ
途中の「みつや製菓舗」で、名物の六方焼きを入手。小麦粉と卵で作った生地を餡子につけ六方から焼き上げたものだそうです。

▼さらに進む

筋骨からみえる、水路にずんと張り出し、さらに増築を重ねた異形の家屋。
「ハウルの動く城」のようです。日本の古い風景のようであり、しかしやはり違う国のようでもあります。

▼奥飛騨酒造さん(ゴール)

筋骨めぐりの最後は、奥飛騨酒造さん。代表銘柄は 「奥飛騨」と「初緑」です。私、以前から初緑が大好きなのです。
また、近年話題の「奥飛騨ウォッカ」を作られているのもここ。世界でも珍しい「米」を原料としたウォッカで、飛騨地区の白樺炭で濾過し貯蔵、熟成した国産プレミアムウォッカです。なめらかな口当たりで、米由来のほのかな甘みが残る味わいが魅力です。2016年12月の日ロ首脳会談の夕食会で、ロシアのプーチン大統領に出され、一躍有名になりました。

▼筋骨めぐりガイドツアー
町を歩くこと約1時間半でガイドツアーがお開きとなりました。まったく飽きさせない、実に楽しいツアーでした!
筋骨めぐりガイドツアーの受け入れ客数は年間約5,300人(金山町観光協会より、2016年度実績)。ガイドをつけない観光客を含むとおよそ15,000人がまち歩きを楽しんでいます。
この筋骨めぐりのように、飛騨地域の周辺部(というと表現として適切でないかもしれませんが)には、魅力的な、体験型の観光プログラムが多数存在します。
中心部だけでなくこうした周辺各地にも足を伸ばしていただきたいと思います。

▼筋骨めぐりに申し込むには
筋骨めぐりに申し込むには、金山町観光協会に電話で申し込むのが一番手っ取り早いです。ガイドさんの都合がつけば、前日、あるいは当日予約でも対応いただけます!

高山市「ムスリム観光客集客セミナー」に参加しました

3月14日、高山市「ムスリム観光客集客セミナー」に参加してきました。

高山市では、民間事業者が主体となり「飛騨高山ムスリムフレンドリープロジェクト」が数年前から始動しています。

私は当初、このプロジェクトは、ムスリム観光客の受け入れに向けた市場調査やマーケティング、マップ作り等、いわば「机上で」進んでいるものかと思っていましたが、ぜんぜん甘かった。

ガチでした。

すでに100名以上のムスリム観光客を受け入れているだけでなく、

ハラールに適応しためんつゆや弁当、ラーメン、懐石料理、鉄板焼きなどの
「オリジナルメニュー開発」まで進めています。

セミナーでは、実際にプロジェクトで開発された、ハラール対応の飛騨牛ハンバーグ、グリーンカレーの試食まで(!)用意されていました。

▼ムスリム観光客について
世界に約16億人いるとされるイスラム教徒。日本に訪れるムスリム観光客は年々増えています。ここ高山市の統計によれば直近年の入込客数は約2万人とのこと。特に、インドネシア、マレーシアなど東南アジアのお客様が増えています。

しかし、ムスリム対応のためには2つのハードルがあります。

一つは「食事」。豚および豚由来品、アルコール、ハラール屠畜されていない肉は受付けられないため、まず、飛騨牛はNG。しょうゆ、味噌や酢など和の調味料もほとんどNG。従来のメニューではほとんど対応できないのです。

そこで、食に対してピクトグラムや英語標記によって情報開示を行うほか、アルコール無添加味噌などを活用してメニュー開発まで踏み切っています。

もう一つは「設備」。イスラムは一日5回礼拝を行う原則があり、礼拝前にはお清めも必要であるため、本来は専用設備が必要です。これについて、飲食店でも、簡易な礼拝場所を設け、メッカの方向が分かるステッカーの貼付などによって、対応が可能であることがセミナーで示されました。

飛騨高山を訪れる観光客はこれからますます多様化していくと思います。そんな中でとりわけ有望なムスリム観光客市場に焦点をあて、受け入れ態勢を強化していくことに期待を感じています!

白川郷名物「すったて鍋」

こんにちは!田代です。飛騨3市1村の食探訪活動をしていない時はシンクタンクで働いています!(逆かも?)

さて先週、白川村を訪問しました。暖かい陽気で、深い雪も目に見えて融けていくのがわかります。

そしてかの地において、私は念願であった名物「すったて鍋」をついに食することができました。

「すったて」とは、石臼ですりつぶした大豆に、味噌や醤油をベースにした出汁から作られた、白川郷で祝い事や報恩講(浄土真宗の行事)で親しまれていた郷土料理です。「白川郷平瀬温泉飛騨牛すったて鍋」は、この郷土料理をより多くの人に味わってもらうために、白川村南部地域の有志で結成された『白川郷鍋食い隊』が鍋料理にアレンジした逸品です。

▼すったて鍋

白川村南部地域の有志で結成された「白川郷鍋食い隊」は、伝統の味に創意工夫を加えた「白川郷飛騨牛すったて鍋」を持って「ニッポン全国鍋グランプリ」に参戦し、2014年大会は初出場初優勝、2015年大会では準優勝という好成績を残しているとのこと。
(白川村役場ホームページ http://shirakawa-go.org/kankou/sutate/ より引用)

▼大豆の出汁に絡まれた飛騨牛
大豆の甘みと芳香を感じる出汁が最高でした。
汁まで残さずいただきました!

▼お店
「お食事処 合掌」

せせらぎ駐車場の入り口付近にあります。
すったて鍋提供店の多くは、事前予約が必要ということですが、合掌さんは予約なしでも注文できます。

▼すったて鍋について
白川村名物すったて鍋についてはすでに優秀な先行レポートが複数存在しています。こちらもぜひお読みください。
白川村役場webサイト「すったて鍋」http://shirakawa-go.org/kankou/sutate/
旅ぐるなび「すったて鍋」https://gurutabi.gnavi.co.jp/a/a_398/

カレー色に染まらない 高山市朝日町(旧朝日村)のよもぎカレー

こんにちは!田代です。
今日は高山中心部から「美女街道」に乗って高山市朝日町(旧朝日村)に来ました。今日はどういうわけか美女が見当たらず。次回に期待します。

昼に立ち寄ったのは、朝日町の道の駅「ひだ朝日村」

▼お昼ご飯
道の駅内の食事処「蓬庵」に立ち寄り、名物「よもぎカレー」を注文しました。

見てください、この鮮やかな緑。

食べ進みつつ、「ご当地カレー」について若干考察いたしました。

私は、地域産品の安易なカレー化に対し、慎重な立場をとってきました。
なぜなら、カレーは相手として強すぎるからです。
朱に交われば赤くなるがごとく、繊細な地域産品はカレーの中にひとたび入ると味のインパクトで負ける。それはまるで、大都市に出て来たばかりのウブな若者がシティボーイに弄ばれるがごとく、地域産品は利用されるだけ利用され、カレーは次の美女に乗り換えていく。そんなイメージでありました。

しかし!

しかし、朝日村のよもぎカレーは違った(見た目からすでに)!!
色も、どうみてもグリーン。カレー色に染まらず、勝利しています。圧勝しています。そして、味も、よもぎが前列でカレーが後列なのです。

カレー総合研究所様(すばらしいテーマをお持ちのシンクタンク)によれば、いわゆるご当地カレーは全国に2000種以上存在し、過密競争を繰り広げているとのことです。
きわめて熾烈な市場の中で、私はよもぎカレーの勝利を確信しています。